総裁選の結果、石破茂が総理になるという誰も予想しなかった結末になりました。さて今後の日本の政治はどうなっていくのでしょうか?石破政権は順調に続くのでしょうか?
結論から言えば、石破政権は未だかつてないほどの超短命政権に終わると思われます。今回石破氏が総理になったことによって、やがて来たる将来の自民党の分裂・解体により一層近づいたのではないか?と私は見ています。
欠陥ジャンク品議員の在庫一掃セール内閣
組閣された石破内閣のメンツを見ればもう溜息しか出ません。使い物にならない欠陥ジャンク品のヨレヨレ議員ばかりをよくこれだけ集めたものだとある意味で感心します。
そもそも旧石破派のメンツ自体が、どこからも声が掛からない使い物にならない問題議員の寄せ集めで、そこから入閣したジャンク議員が大半を占めています。閣僚19名のうち13名はそうした議員です。
立憲民主党の野田陣営(立憲民主党内では最も右寄りの保守派)と比べても、明らかに左寄り・左巻き内閣です。これは第2の立憲民主党ですか?と言いたくなる内閣です。
・官房長官は引き続き党内随一の親中派である林芳正(宏池会・日中友好議連会長)
・外務大臣の岩屋毅は、北朝鮮とズブズブの日朝議連に属し、かつて文在寅政権のレーダー照射事件があった際の防衛大臣で、責任解明が一切されない中、韓国に行って握手だけして帰ってきた人物です。
・防衛大臣の中谷元も、やはり日朝議連メンバーで、安倍・菅時代に要注意人物としてマークされてきた議員の一人です。
つまり、主要閣僚が反米・親中・親朝鮮のメンツで固められています。
ここから石破茂という政治家の実際の正体・中身が見えてくるでしょう。なぜ安倍氏に蛇蝎の如くに嫌われていたのか?また党内で支持者が広がらないのか、物事には理由があるのです。
今回の総裁選で、最後のキャスティングボードを握ったのはどうも岸田派(林・上川陣営)のようです。
議員票にしてわずか11票の差で、石破が高市に競り勝ったのですが、おそらくこの11票は高市氏の右寄り政策に乗れない「党内左派」が集団的に動いた結果でしょう。
第1回の投票で小泉進次郎を推した菅氏が率いる無派閥グループ50~60名、旧二階派・森山派20~30名弱に加えて、最も左翼寄りサイドにいる岸田派(宏池会)50人ほどが纏まって石破に乗った(反高市で結束した)ことが決定打となったのでしょう。
なので、石破内閣に最も影響力をもつ集団は、党内左派=岸田派ということになりました。この内閣は実質的には森山&岸田による院政内閣だと言ってよいでしょう。
菅さん率いる無派閥グループはどうか?完全に読みが外れました。進次郎が本命だったのに決選投票・2位にも残れずです。権力闘争で麻生氏から副総裁の座を奪取したけれども、実質的には勝ったとは言い難い。まさか石破になるとは想定してなかったはずです。
ゆえに、石破内閣を積極的に支えているのは、左派リベラルの岸田派を中心とした50名ほど、寄せ集めの旧森山派や旧二階派出身などの有象無象が20名ぐらいです。合計70名にしか支持されていない=党内基盤弱小の内閣です。そして残りの約70%の自民党議員は反石破勢力です。
歴代ワースト2位の発足時支持率
すでに、各メディアの内閣支持率が出てきましたが、高くても51%、低いところでは40%台ぐらいです。ご祝儀相場もあったものではありません。歴代内閣でもワースト2位の出だしです。(麻生内閣の48%と並ぶ低い支持率です)
今後これが上昇していく見込みはないでしょう。石破本人や閣僚たちのボロが次々出て下がっていく一方でしょう。この選挙までの1ヵ月間でさえも今の支持率が持つかどうか?
10月27日の衆院選までにも、閣僚や石破本人の過去スキャンダル報道などが多発すれば、この総選挙で自公が過半数割れになる可能性すらあります。
今回の衆院選でなんとか過半数を維持したとしても、来年夏の参院選まで持つでしょうか?
ちなみに、なぜこんな人が今まで石破人気とか言われていたのでしょうか?大きく2つの理由があります。
1つ目は、朝日・毎日を中心とした左翼的メディアが盛んに石破さんを好意的に持ち上げてきたことによる印象操作の結果でしょう。政権批判ばかりを繰り返している石破氏を「党内野党の論客」のように持ち上げて評価してきたからです。
もう1つの理由は、安倍内閣以降ずっと党内で干されて暇を持て余したお蔭で、石破氏は全国津々浦々に行脚して地方集会や党員後援会に盛んに出席していました。農協の会合やら何やらに式典の最初から最後までずっと居てくれる。それで顔が知られて田舎の年寄りの党員からの支持を集めたようです。今回、党員票で勝ったところは全部地方ばかりです。都市部では高市票が多数派でした。
反石破勢力による倒閣運動がすぐ始まる
党内の75%を占める反石破勢力が倒閣・石破降しを仕掛けるであろうことは確実です。ゆえに持っても1年の超短命政権でしょう。
来年夏の参院選を過ぎれば、その後の3年間は国政選挙が1つも無い無風状態に入りますから、党内の大多数の議員たちが石破内閣をそのまま長期政権にしておくわけがありません。確実に倒閣運動が出てくるでしょう。
そもそも党内基盤が脆弱な内閣ですから、世論支持率が低下していけばすぐに倒れるのが必然です。
ここから考えても、石破氏が身旺の命式で、現在の大運が本人を押し上げるような強い運にいるとは到底考え難いのです。本質的・性格的に根暗で苛められ役で、吹けば消し飛ぶような命式でしょう。
ちなみに、今回の総裁選の結果は、麻生太郎が描いていた「大宏池会」構想がとん挫したことを意味します。
麻生氏の思惑は、もとは同じ宏池会の出身である麻生派50名+岸田派50名が一致して同じ候補を推すことでしたが、左翼的信条の強い岸田派(林・上川陣営)はゴリゴリ右翼の高市氏には乗れなかった。
過去数年で麻生と岸田の間に相当の亀裂が生じていたのでしょう。彼らが合同して「大宏池会」として纏まる見込みは今後無くなりました。
さらに、麻生派自体の分裂状態が明らかになりました。自派閥の河野太郎に入れた議員はわずか22名。同じ麻生派でも甘利グループは小林鷹之支持に回り、他にも進次郎や高市支持に回った議員もいたようですから、実質的に麻生派は派閥としての団結力はすでに無い(すでに分裂状態でいずれは解散に向かう)ということが明らかになったわけです。
同じことは、岸田派や茂木派にも言えることで、岸田派は 林芳正と上川陽子の分裂選挙となり、茂木派は 茂木氏と加藤氏の分裂選挙となりました。これは各派閥の結束が緩くなり分裂の目があることを示唆します。
決選投票で高市支持に回ったのは、旧安倍派70人の大半、麻生派のうち20~30人ほど、小林鷹之を支持したグループ、茂木派の約30人が中心だったと思われます。これら合計180名が本来の自民党の主流派(約70%勢力)なのでしょう。
これらの勢力と、石破内閣を院政で支持している左派リベラル議員との間で党内闘争が本格的に始まっていけば、おそらく近い将来の「自民党分裂・解体劇」の引き金に繋がっていくだろうと思います。
岸田政権が唯一果たした仕事・評価ポイントは、党内の派閥を解散させたことです。これによって、派閥首領の締め付けが皆無になり、党内が激しく流動化し始めました。
やがては政策軸・理念によって3~4つぐらいの議員グループに再編しつつ自民党は分裂・解党していくのが自然の流れだと思います。もはや政党としての存立意義が無くなっているのですから。
石破政権の経済政策とは?
さて石破内閣の政策は、日本国民にどのような影響を及ぼすのでしょうか?
経済政策面で石破氏が主張していることは、①政策金利を上げる(金融緩和策を終了する)、②消費税を上げる(財務省の代弁者)、③緊縮財政、④金融所得課税をする、の4点です。
これら全部が日本経済に大きくマイナスとなります。せっかくデフレから脱出しようとしている中で、また深刻な不況&デフレに逆戻りしかねない政策のオンパレードです。
はっきり言って、経済政策においてトンチンカンの極みです。だからこそ、石破ショックと言われるほどに株価が下落しました。マーケットはよく分かっています。
そして就任後まだ数日しか経たないのに、金利は当分上げない、金融所得課税も当分しないとかの弁明を始めていますが、この人の一貫性の無さ、発言のブレ、中身の無さは前から分かっていることです。
石破政権を来年の参院選後まで放置しておけば、財務省が主導して消費税増税に向かうでしょう。増税と緊縮財政と利上げの三重苦によって空前の大不況が到来するでしょう。それまでには退陣を願いたいところです。
石破政権の安全保障政策とは?
さらに根が深い問題となりそうなのが、日米安保を巡る論点です。
石破の主張は、今までの日米安保を維持するよりも、①アジア版NATO、②日米地位協定の改訂、③自衛隊基地をアメリカに作る、といった独自の論点に傾いています。防衛問題に強いと石破自身が自負していると言われていますが、安全保障政策についても実際にはトンチンカンの極みです。
そもそもNATOのような集団的自衛システムが東アジアで機能するはずもありません。
例えば、フィリピン海で中国とフィリピンが軍事衝突した時に、日本やASEAN諸国が派兵するでしょうか?韓国と北朝鮮での戦争が勃発した際に、日本や他国が鎮圧のために派兵するのでしょうか?そもそも言ってること自体がナンセンスだということが分かるでしょう。
東アジアの安全保障は、あくまで米国という中心軸があり、米国と日本、米国と韓国、米国とフィリピンというようにハブ&スポーク構造(2国間の安全保障の積み重ね)になっています。それをNATOのような集団安全保障に一気に変えられるのであれば、とっくの昔にアメリカがそうしているはずです。
もし、11月のアメリカ大統領選でトランプが再選した場合、トランプ×石破は最悪の組み合わせとなり、日米関係が相当ギクシャクする可能性が高いです。石破が自説に拘るようであれば、既存の日米安保を破棄して、日本は日本で勝手にやれ!というトランプの反発を招きかねません。
つまり、経済政策においても、外交・安全保障においても、石破氏の持論は全てトンチンカンです。だからこそ、これまで自民党内でまったく使い物にならない議員として誰からも支持されてこなかった。そうした問題議員を盛んに論客といって担ぎ上げたメディアの罪は重いと言わざるをえません。
さて、1カ月後の衆院選において国民からどのような審判を受けるのでしょうか?