自民党+公明党が過半数を大きく割り込み、衆院で法案を可決させるためには10~20議席ほど足りない状況になりました。そこで協力相手としてにわかに注目を集めているのが国民民主党です。
国民民主党としては閣内にまで入って連立政権の一部となることはしないが、自分たちの主張する経済・税制政策を丸飲みするならば、部分連合で協力してもよいという高いハードルを自民党に突き付けました。
その政策が「103万円の壁」を撤廃して「基礎控除そのものを178万円まで引き上げる」という税制改正です。
これは実質的な減税政策です。可処分所得(手取り)が増えることで消費・内需が活性化する効果もあり、働き控え(労働時間調整)をしていたパート従業員がフル出勤できるようになるため深刻な人手不足(労働力)の解消に繋がり、ダブルで企業経済を活性化する政策です。
ここ最近、ほぼ毎日のように「103万円の壁」(基礎控除)やら「106万円の壁」(社会保険料)の話が報道されており、党首の玉木雄一郎氏は一躍時の人となっていましたが、そんな最中に例のスキャンダル報道です。
しかも首班指名の日をわざわざ狙った情報リークですから、おそらく「恒久減税」など死んでも許せない財務省(霞が関キャリア組官僚)による「手段を選ばない死にもの狂いの抵抗」でしょう。それだけ財務省は「増税」は平気でしても「減税」だけは絶対にしたくないのです。
身弱の晦火とは
さて生年月日を調べてみてビックリなのが玉木雄一郎氏の命式です。
ハッキリ言って、この方が党の代表を続ける限りは国民民主党はさほど伸びないし、政権を取るまで絶対いかないでしょう。それほど運勢の悪い難点の多い命式です。
比較的運勢が良かったのは27歳までの大運で、そこで東大法学部⇒財務省とエリート出世していることは頷けます。
しかし、原命式自体がかなり悪いので、本人自身も相当に努力なさったのだろうとは思いますし、時柱には甲午あたりのそこそこの用神・喜神が入っているのかもしれません。
ただし、女性スキャンダルに容易に引っ掛かるぐらいですから、時柱が庚辰・辛巳・甲申・乙酉などの可能性もあるかなと見ています。
28才でほぼ用神運が去り、その後は路頭に迷う人生迷走期に入ります。
民主党から出馬して大敗落選。甲木の大運(2009年)で政権交代が起きて、一時的に重要ポストに就きましたが、それも束の間で、民主党は分裂して民進党⇒希望の党⇒国民民主党と転々と野党生活が続いてきました。
今回にわかにキャスティングボードを握る幸運が舞い込んできたように見えるのは、年運干支(甲辰)の「甲木の作用」なのかもしれませんね。思えば、石破茂の命式も「火星の身弱」で甲木用神でした。
しかし、年運甲木はどこにも根を張れない一過性の甲木に過ぎません。年度後半になり辰土は泥水化します。
ということは、にわかに脚光を浴びているように見えても、おそらく年が変わって乙運に入った途端に、自民党との交渉(約束事)は破棄されると思われます。つまり、玉木代表は良いように利用されて騙され裏切られる結果になりそうです。
来年に入って2~3月が通常国会が閉幕して、次年度の予算案が成立するかどうかのリミットです。
石破自民党(実際は岸田&森山政権)の思惑としては、国民民主党の掲げる「減税政策」を無理に飲まなくとも、野田佳彦の立憲民主党と「大連立」さえ成り立てば予算案はスムーズに成立します。
石破や岸田(自民)も、野田(立憲)も両者ともにザイム真理教※の熱心な信者で「増税論者」ですから、大連立となれば意気投合して「消費税15%」に向かうでしょう。これこそが「財務省が最も歓迎するシナリオ」であって、国民はこの展開に警戒しなければなりません。
※ザイム真理教の教義は、日本は借金(国債)が大量にあるから財政破綻させないためには消費税をどんどん挙げていかなければならないという財務省官僚のレクによる真っ赤な大嘘です。
2~3月に予算案が成立するまでは、なんとか今のボロボロの石破政権を延命したい自民党としては、あと数か月間だけ「内閣不信任案」を出されて倒閣に至ると困るわけです。
そこで、何とか国民民主党などを繋ぎ止めて倒閣に至らないように交渉しつつ時間稼ぎをしているのだろうと私は見ています。
私などは現時点でキャスティングボードを握っている国民民主党が、さっさと今後の政局を見切って内閣不信任案を提出して、まずは石破政権を即刻辞任させるべきであって、玉木氏は戦略自体を読み誤っています。結局は石破の延命に協力だけさせられるだけだったという愚かさを演じるのではないでしょうか。
2月頃までは国民民主党(玉木雄一郎)を騙しだましでいいように利用しつつ、両面作戦で(水面下では)野田・立憲民主党との大連立(予算案可決)を画策しているのだろうと思います。
その証拠が、予算委員会の委員長という超重要ポストを野党の立憲民主党に明け渡したという考えられない事態が起きていることからも分かります。これは将来の予算案通過のための布石と見るべきでしょうね。
「103万円の壁」が撤廃されて手取り収入が増えるという国民が期待している政策実現の見込みは、残念ながら玉木氏が党首を続ける限りは難しいのではないかと思います。さらに今後先の大運も先の先まで悪運続きです。とても総理になんかなるような「運勢の芽」すらも見えません。
この命式の特徴、運勢傾向の主軸は「容易に騙されて馬鹿を見る」ということ。自民党の老獪な政治家にいいように利用されて裏切られる、そんな結果になりやすい人ですし、そもそもトンチンカンな思考回路を持っているところがあり、変な思い違いや勘違いを起こしやすく、重大な判断や選択の局面において見誤りやすい方です。
そもそも、最初の出馬から見誤っています。自民党ではなく民主党から出馬して大敗落選。さらに小池百合子に騙されてホイホイと「希望の党」に乗っかって民主党分裂を招き、つい最近もガソリン税のトリガー条項凍結解除を巡って岸田自民と裏取引していましたが、岸田自民にいいように振り回され協力だけさせられた挙句に、交渉自体が断ち切られて政策実現には至りませんでした。
つまり、これまでずっと政局の判断をことごとく誤ってきた黒歴史があるのです。
国民民主党の掲げる政策自体は間違っていませんし、いわゆる典型的な「中道右派」で経済政策的にも正しい内容です。
しかし、党首自身がこれほど運勢低迷していて政局の読みが甘い人物であるとなると、なかなか党勢は伸びていかないでしょうね。できれば、幹事長の榛葉さんあたりに党首変更したほうがベターなのではないでしょうか。
榛葉さんは非常に健旺な命式で、官星用神ですから政治家向きと言えます。玉木氏よりは全然こちらのほうが良いですね。身旺ですからゴリ押ししていく突破力はあるでしょう。
財務省との熾烈なバトルが始まっている
さて、多くの国民が、今回の「減税」vs「増税」の背後に「財務省」の黒い影があることに気付き始めています。
自民党や立憲民主の政治家たちなんてのは、選挙によって簡単にすげ変わる「表の看板」にすぎません。
政策立案権を裏で牛耳っている「真の実権者」が、国民の選挙によって審判を受けることのない「霞が関官僚」であり、その中心にあって他の省庁をコントロールしているのが「財務省」なのです。
与党・自民党の中でも、財務省の息のかかった(代弁者となっている)「増税派」「緊縮財政論」の政治家と、反財務省の「減税派」「積極財政論」の政治家に大きく分かれています。
石破茂、岸田文雄、林芳正あたりが「増税派」のザイム真理教の信者(財務官僚の代弁者)です。
一方で、総裁選を争った高市早苗氏(と旧安倍派の多く)はアンチ財務省・「減税派」(積極財政議連メンバー)の代表格でした。
同じ1つの政党の中でも、経済政策・税制政策1つとっても全く考え方や政策志向が食い違っている者たちが呉越同舟しているのが自民党&立憲民主党などの現状です。近い将来には、こうした政策の隔たりを起因として自民党も立憲民主党も解党・再編されていくのでしょうね。
「右か左か」ではない論点こそが重要となっていく
おそらく今後5~10年ぐらい掛けて自民党政治の迷走が著しくなりつつ、第3極を巻き込みながら政界再編・政党シャッフルが試行される時代になっていくのだろうと思います。
その際に、右か左か(保守か革新か)という従来型の「戦後昭和の55年体制」とは違う基軸で、政党の住み分けが為されていくだろうと思います。
これまでの日本の政党は「右か左か」という単一の基準で住み分けてきました。この基準は「外交・軍事安全保障」に関する基本政策の違いです。
共産党・社民党・立憲民主党などの左翼サイドは、日米安保に反対、自衛隊は違憲である、憲法9条の改正反対という立場でした。共産主義に親和的なので北朝鮮や中国と親しくしようという親中派・親朝派が多い。
自民党などの保守系サイドは、日米安保を維持強化すべし、自衛隊は合憲、憲法9条(専守防衛論)を改正して中国・北朝鮮の侵入に対処できるようにすべし、という立場です。
戦後昭和の55年体制とは、保守系与党の自民党が安定多数を維持しながら、左翼野党である社会党などが批判勢力として対峙するという議会構成でした。
この構図がバブル崩壊後~2000年代に掛けてかなり崩れ始め、政界全体がかなり流動化しているのが現状でしょう。自民党の与党としての絶対性が揺らいでいると同時に、左翼野党も国民の支持をあまり集められなくなっています。ゆえに第3極のような政党が「受け皿」として躍進するのです。
これまでの日本は、右か左かという安全保障を巡る意見の違いだけで政党が分離してきました。しかし、もはや安全保障を巡る論点について、総選挙の度に国民全体の意見は明白になってきています。
中国・北朝鮮・ロシアといった周辺国の侵略行為が増加する昨今において、日米安保を破棄して、自衛隊を解体して、左翼が言うように「外交と話合い」だけで侵略行為が簡単に防げる、と本気で思っている「脳内お花畑」な左翼支持者は全体のごく一握りでしかありません。また熱心に左翼野党を支持しているのは70~90代の超高齢者層であることが世論調査からも分かります。
つまり、国民の総意として右寄り(保守系)の外交・安全保障政策は当たり前となりつつあるので、もはやこの論点が今後の「政党」を分ける基軸とはなりにくいのです。
例えば、自民党も維新も国民民主も日本保守党も、外交安保政策で「右寄り」であるという点では違いがさほどありません。明確な違いを生じているのは「別の論点」なのです。
それが、経済政策や税制のあり方という「安全保障とは異なる視点」による政策理念の違いです。
これまでの日本政治はこうした「経済政策や税制」を巡る政策理念の違いによって、政党が大きく分裂した経験がありません。単純に「右か左か」だけで政党が1つに纏まってこれたのが昭和時代です。ゆえに、同じ自民党の中にも経済政策を巡って全く異なる政策を主張する議員が混在しています。
しかし、今後の日本政界は、やや右寄り「保守系の安保外交スタンス」はどの政党でもほぼ共通(国是)になって、その点での明確な違いがなくなります。
「大きな政府」と「小さな政府」のどちらを目指すのか、増税・緊縮財政を目指すのか、減税・積極財政を目指すのか、といった論点の違いによって、同じ右寄りで保守系の政治家たちの中でも「経済政策の違い」が明確化されていくでしょう。
おそらく、維新や国民民主といった第3極は「小さな政府」「減税・積極財政」「霞が関改革」を掲げて、与党の自民党とは差別化を図っていくでしょう。
自民党の大半(主流派)は「大きな政府」「霞が関の官僚とべったり共依存関係」のこれまでの惰性を続けていくでしょう。岸田派も麻生派もこの点では大差ありません。
自民党内の改革派(反官僚主義)や減税路線の議員たちが、今後ほかの第3極とどう連携して政党再編を行っていくのか?が1つの注目点になっていきます。
また、ゴリゴリの右翼路線も日本保守党のように存在してはいますが、やはり全体から見ると圧倒的少数派で民意の大半から支持を受けているとは言い難いです。政党支持率では国民全体の3%未満でしょう。
自民党の中でも、夫婦別姓反対、女系天皇反対などを盛んに言っている価値観保守(右翼系)の議員は、日本保守党と今後合同する方向に行くのではないかと思います。
こちらは経済政策や税制とは全く無関係の論点です。古い保守的な価値観を尊重するとか、日本民族のナショナリズム的愛国心といった視点を主たるテーマとするのが「価値観保守」=「旧来の右翼」です。
つまり、①経済・税制政策の違い、②価値観保守を重んじるかどうか の2つの論点で、同じ右寄りサイドの政党が今後シャッフルされていくと予想します。
その結果、①中道右派で「小さな政府論・アンチ官僚」路線、②中道右派で「大きな政府論・官僚依存」路線、③ゴリゴリの右翼路線、のおよそ3通りの政党パターンに最後は集約されていくのではないかと思います。
自民党の主流派は②です。高市早苗さんは①よりも③に親和性がありそうに思いますが、さて今後どう動いていくでしょうか?