十二支の特殊法則 ‐方合・三合会局・七冲・支合

四柱推命の基礎理論

本来の四柱推命理論を学ぶために心得てほしいことを1つ申し上げるならば、まずは「地支の働き」を最優先で熟知して下さいということでしょうか。

「地支」は命式の基礎・土台構造である

ちまたの四柱推命(どの書籍や教室も)では、最初から「通変星」や「十干」(天干)の話ばかりを延々と語りたがる傾向が強いです。

というのも、それらが「目に見える性質や現象」に関する分かりやすい説明と関連付けられることが多いからです。それらが目につきやすい(=重要事項だ)と思われやすいのでしょう。

しかし、いくら十干通変星のことばかり語っても、推命学の本質はそこにはありません。実際のところ、通変星や天干の話ばかりしたがる鑑定師というのは、表面の上モノをなぞっているだけで、命式の土台構造がよく分かっていません。

なので、私の講座では「地支論」から講義をスタートしています。それが正しい四柱推命理解のための最短ルートだからです。

命式において「地支」は土台であり基礎部分です。天干や通変星は、その土壌・基礎に根差して枝葉を伸ばして展開している上モノにすぎません。

植物全体を支える「地中に張り巡らされた根」がしっかりしていなければ、上モノの枝葉や花実がたいして充実するはずもないのです。

しかし、十干や通変星に比べると地支についての探求・考察は一見地味に思えるのでしょう。ここをきちんと突き詰めて分かっている人がいかに少ないことでしょうか。

「方合」~同じ五行による強い団結力

地支には、方合・三合会局・七冲・支合といった特殊法則があります。原命式や後天運の判断において、これらの法則とその実態が分かっていないと正しい診断を誤ります。

まず「方合」から見ていきましょう。

「方合」は、亥子丑、寅卯辰、巳午未、申酉戌 といった同じ方角(東西南北)や季節(春夏秋冬)に属する3つの十二支が、自然と惹き合って団結性を強めるものです。

この団結力は非常に強く三合会局や支合をはるかに上回ります。つまり最優先で結び付くということですし、原命式で結合しているとそう簡単に解除・分解されることもありません

特に生まれた季節=月支と同じ五行による「方合」があれば、その結合力と影響力は多大です。(例えば、冬月生まれ北方合がある場合など)大きく命式を傾ける元凶(悪神)となります。

また、季節(月令)に反する仕方で=月支以外の他の3支で「季節外れの方合」が成り立っている場合も、命式の所属する季節感を塗り替えるほどの非常に大きな影響力を及ぼします。


「三合会局」~共通の蔵干による緩い結合力

方合の次に重視すべきは「局」(三合会局)です。

水局、火局、木局、金局の4つがあります。土局は存在しません。

「方合」を同じ屋根に下に暮らしている家族・血縁者による団結性と譬えるならば、こちらの「三合局」というのは、もともとは赤の他人であるが、共通の同じ趣味(推し)があって、にわかに趣味嗜好による同好会やサークルを結成して臨時で集まっている感じに近いのです。

例えば、水局ならば、サークルの主催者は「子」です。これが三合局の盟主であり「局神」と呼びます。三合局は必ず「局神」が必要です。「子」がいないのに、辰や申だけ居ても水局はしません。「局神」はサークル形成における発起人・呼び掛ける主催者だからです。

「子」の蔵干は壬癸水であり、申は壬水を、辰は癸水を同じく蔵干に持っています。つまり、壬癸水という共通する蔵干(推し)の存在によって、にわかに集まって「水のサークル」が成立するのです。

元来は何の縁もゆかりもない赤の他人同士なのですから、いかに急速に接近したかに見えていても、時が経てば解散・空中分解するのは、呆れるくらいに早いです。

共通の話題で盛り上がってサークル活動が熱狂している時の熱量と、一気に冷めて活動停止・解散状態になってしまっている時の温度差をよく見極めなければ正しい判断はできません。活動停止中や空中分解しているサークルに活動実態があるでしょうか?

さらに、4つの会局には、もともとの団結しやすさにレベル差があります。何はなくとも結合しやすい=成立条件が緩い局と、そもそも結合しにくい・成立条件が厳しい局とがあります。水局と火局が前者であり、木局と金局が後者です。

つまり、木局や金局は十二支のうちの2~3つが揃ったからといって、常に実態をもって結合・成立するわけではありません。これが分かっておらず、巳酉丑や卯亥未が揃えば、それだけで機械的に三合局が成立すると思っている鑑定師が非常に多い。私が見るにそのような鑑定師は、たいてい命式の強弱判断からして間違っていることが多いです。

「七冲」‐相反し合う五行

次に「七冲」についてですが、これも非常に誤解が多いものです。

命式内に七冲があれば必ず離婚するだとか、人生が不安定になりやすいだとか、そんなインチキ・妄言ばっかり言っているのが「ちまたの迷える四柱推命」です。

実際には、先ほどの方合や三合局に比べれば、七冲というのはそれほど甚大な影響を及ぼすものではありません。それぞれの命式の構造や配列によって注意すべき七冲なのか、まったく無視していい七冲なのか様々です。なので一概に凶であるとも言えません。

「冲」とは、水剋火・金剋木といった五行の争いによる作用がもともとです。子午は水vs火の争いが起こりやすく、酉卯では金vs木の争いが発生するのです。ということは、辰戌や未丑では土同士なのですから実質的な争いが起こらないことは明白ですよね(朋冲)

命式内に七冲の並びがあったとしても、それが凶意があるのかないのかは、命式全体を見てみないと確定できません。

例えば、卯の地支が「悪神」となり命式全体を傾けている場合に、酉金があって冲していればたいていの場合は吉作用となるでしょう。特にその人の用神が「金の五行」であればなおさらです。この酉卯の冲は、凶どころか「用神が悪神を制する吉作用」となります。

全ての事は同様です。用神が冲されて弱まるなら凶でしょうし、悪神が冲されて弱まるならば吉でしょう。ということは、先立ってその命式において何が用神であり、何が悪神であるか?が明確に分かっていなければ、冲1つの良し悪しすらも分からないということにならないですか?

また、ちまたの四柱推命が教えているような、冲があれば合が解ける(冲解)だとか、冲された地支が消滅するとかいうことは一切ありません。

「支合」‐通常は無視、考慮すべきは1種類だけ

最後に「支合」についてですが、四柱推命において「支合」はまったくもって無視してよい内容だと考えます。それが「方合や三合会局」のような五行の力量バランスを大きく傾ける影響力を持っていないからです。

また、ちまたの四柱推命の言っているように、相性判断を干合や支合で行うのは「愚の骨頂」ですからお気を付け下さい。誤占のモトです。

6つある「支合」の組合せの大半は無視しても構いませんが、唯一「酉と辰」の支合だけは、五行の力量バランスに影響を及ぼす可能性がある支合として例外的に考慮する場合があります。

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