空亡(天中殺)は当たりません

四柱推命の基礎理論

ちまたの東洋占術(四柱推命、算命学など)で誤った理論として広く出回っているモノとして「空亡」「天中殺」「大殺界」があります。ちまたの占い師(四柱推命、算命学、六星占術)ブログやインターネット上の占いサイトを見れば、だいたいどのサイトでも「空亡」「天中殺」の害悪が語られています。

読者の皆さんの中には、ちまたの占い師に、あなたはこれから「空亡・天中殺」の時期だから悪い運気に入ります、などと言われた方もいらっしゃることでしょう。(そんな嘘ばかりを言って鑑定料を取るトンチンカン占い師が日本中に溢れています。困ったものですね)さて、本当にこれらは恐れるべきモノなのでしょうか?

空亡・天中殺・大殺界はまったく意味なし

結論から言えば、「空亡」(=天中殺・大殺界も同じ意味)というモノはまったく無視して構いません。それ自体に何の害悪もありませんし、生年月日に基づいて「一生を鑑定するような命理占」においては「空亡」は全く意味を持ちません。ちなみに、空亡も天中殺も大殺界もすべて同じ概念です。占術によって呼び方が違うだけで中身は同じです。

「空亡」を吉凶の判断根拠として用いるのは、明日あさっての事柄とか、せいぜい向こう数カ月ぐらいまでの「短い時間内でのこと」をみる占術に限られます。たとえば、断易・五行易・六壬がその代表格です。

空亡(天中殺)というのは1か月やそこらの短い時間の範囲でしか機能しない=意味を持たないのです。

生まれた日(日柱)から導かれる「空亡」が、その人の一生全体にずっと影響を及ぼすことなどそもそも理論的にありえないのです。

空亡・天中殺の有効期限はどこまでか?

では、どういうカラクリで「空亡」を気にする必要がないのでしょうか?それをきちんと理論的に説明しているサイトは、私が見る限りはインターネット上にほとんど存在していないように思います。実はそんなに難しい話ではありません。まず「空亡」とは何か?ということですが・・

例えば、番号1~10(甲子~癸酉)の列を見ると、戌と亥の2つの十二支は「天干が付かず」余ります。これを空亡の十二支と呼ぶのです。

東洋暦の「干支」(かんし)は、天干(十干)と地支(十二支)の組合せで構成されています。60通りの組合せがあって「六十干支」と呼ばれます。

この表を見れば分かるように、10個と12個の組合せを考えていく時に、常に2個の十二支が余ります。天干が付かない地支が2つ出てくるわけです。これを「空亡」の十二支と呼んでいるのです。

上の表で干支番号1~10の列を見てみると、甲子から癸酉まで10個の組合せがありますが、戌と亥が天干が付かなくて余っています。これを「空亡」と呼ぶのです。同じように、番号11~20の列では申と酉の2つが余ります。

このように、各列ごとに「天干が付かない溢れた十二支」が2つずつ発生します。天干が付かない=天からのパワーが得られない=不安定で力が乏しい状態にあると考えるわけです。これが「空亡」の理論です。

しかし、この「空亡」になった十二支は、いつまでも半永久的に「空亡」=「力が無い虚無の状態」に置かれているわけではありません

日数が経過して、次の列(旬といいます)に移行した途端に、新しい天干との組み合わせが決まるわけですから、すぐに力を取り戻すことになります。なので、実際に「空亡」している状態はせいぜい長くても10日ぐらいしか続きません。

日数が経過して、次の旬に入れば自動的に「空亡」は解除されます。これを「出空」(=空亡を抜ける)と言います。

ちなみに、断易や六壬占では、空亡している十二支がいつごろ「出空」して解除されるか?ということが物事が動くタイミング(応期)を推測する1つの判断テクニックとなっています。それが10日後に出空したり、次の甲の日に出空したり、あるいは「冲」される月日で解除されたりすることによって、停滞していた物事が動き出すサインとなるのです。

この「空亡」という誤った概念をベースにした占いがちまたには溢れています。ご注意ください。また生まれた日(日柱)だけで占うことはそもそも不可能・無意味です。誤占のモトです。

ということは、「空亡」の十二支が、その人の一生ずっと何十年もの間、半永久的に「空亡」の作用を持ち続けるなんてことは理論上ありえません。せいぜい出生後の1~2週間も経てば、日柱から導かれた「空亡」の十二支は「出空」する=おのずと空亡が解除されるのですから。

どの十二支が空亡(天中殺)になるかで、その人の性格や運勢が決まっているとするのが、ちまたの誤った空亡の理論です。いうまでもなく当たりません。

この当たり前のことを全く分かってないまま、生まれた日から導かれた「空亡」が一生かけて永遠に作用し続けるという誤解・曲解に基づいて、あーでもないこーでもないと様々な拡大解釈を施しているものが「ちまたの天中殺系の占い」の正体です。

ちまたにあふれる日本の占い師たちの大半は、「空亡」が時間経過によって自動的に解除されるという(台湾や香港では)当たり前のことすら知らないのです。

さらに、どの十二支が空亡になるかで、その人の性格や運勢が決まっている、といったトンチンカンなことを言ってみたりと・・・ちまたに溢れている天中殺(大殺界)占いにはまったくもって信憑性がありません。

日本の占い業界において、特に東洋占術系にはこうした「誤った理論」をモトにして拡大解釈で広がっているトンチンカン占術が蔓延しています。なので、ちまたの街の占い師に、東洋占術(四柱推命、算命学、気学等)によって鑑定してもらうことは私はあまりお薦めしません。誤占を受けるリスクのほうが高いです。どうせ同じ東洋占術ならば、易占や手相あたりであれば、流通している理論に誤りが少ないので比較的安全かと思います。

空亡(天中殺)は低迷期・停滞期ではありません

そうは言っても、空亡・天中殺がまだ気になるという方のために、念押しで「実例」を示してみましょう。実際の人物の生年月日(命式)を見れば、空亡・天中殺の期間にまったく関係なく大成功や幸運を得ているケースがいくらでもあることが分かるでしょう。

例えば、都知事になっている小池百合子さんの命式は何が「空亡」なのでしょうか?日柱が壬戌ですから、子と丑が「空亡」に当たります。

さて、後天運で「子や丑」の期間に彼女は大変な低迷期に入ったのでしょうか?八方塞がりの大殺界に陥ったのでしょうか?

子丑の時期は、52~71才の20年間ですが、自民党で要職ポストを次々と得た後、自民党を出て、東京都知事選に勝負して見事に勝ち上がって今に至っていますよね。(ちなみに72才以降は、己土が到来し濁壬して大変な時期に突入することだけは予告しておきましょう)

「空亡・天中殺」は低迷期・停滞期だから、新しいことをしてはいけない、環境を変えてはいけない、八方塞がりで絶不調に陥るといった「空亡理論」ははたして当たっているのでしょうか?まったく実態と合っていないことが分かるでしょうか。

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