広末涼子さんの現夫であるキャンドル・ジュン氏の命式を見てみましょう。
この命式は初学者にはちょっと難しい命式かもしれません。様々なブログ等を拝見していても基本的な命式分析をそもそも間違えているものが散見されます。
<命式分析のポイント>
・生まれた季節はいつですか?最も強い五行は何ですか?
・地支の丑丑は、原命式では主に何の五行になっているのでしょうか?
・この命式は身旺ですか?身弱ですか?
・良い五行や用神は何でしょうか?(どのような種類の星がどのぐらい必要でしょうか?)
・大運の推移にどのような特徴がありますか?
・女性との恋愛結婚について、命式内のどの星とどの星が悪影響をしていますか?
まず、全ての鑑定に先立って「日干の強弱」を考えることから始まります。この命式を身旺だと言っている推命家もいるようですが、この命式はそもそも身弱の命式です。
では、なぜ身旺だと誤占してしまうのか?それは「酉丑」があって無条件&機械的に「金局」していると考えてしまうからです。要は地支論がよく分かっていないのです。
巳酉丑や亥卯未の単純に2~3つが揃ったからといって、常に無条件・自動的に三合会局が成立するわけではありません。この命式は、少なくとも原命式においては(ひとまず大運の推移を考慮しなければ)酉丑丑の金局はその実態がありません。金局しそうな気配があるだけで、丑丑は金星にはなっていません。そして大運は北方運(子や亥の運)からまず始まるのです。だとすれば丑丑は何になるのでしょうか?
この命式は、丑月の1年で最も寒い冬季の命式であり、丑丑は最初からその大半が水星です。しかも、丑丑は泥水かつ凍土です。その水星は澄んでおらず濁っています。
非常に変わった趣味・嗜好や価値観をもった人物であり、奇特な分野・ジャンルで一芸に秀でたり、技術職やエンジニアになり特殊技能を磨いていかなければ、なかなか世に出て行きにくい命式です。変わったジャンルのアーティスト活動は性に合っていたのでしょう。
この命式では、種類の異なる2~3つの五行の星を、決まった順序で用いていかなければならず、完全な形で(自他共に喜ばしい状態になって)開運・改善するために相当の努力・自己修養を要します。
まず、命式内に酉金があり、日干の根となって支えており、身弱に沈んでしまうことからは守っています。これは努力すればいちおう世の中には出ていって活動ができますよという作用です。その通り、奇抜なアーティストとして社会的に活躍はしています。
ただし、それが世間に受け入れられて、お客さんのニーズに合って喜ばれ、感謝されて対価(お金)がしっかり稼げるかどうか?となると、それはまた別次元のお話です。そのためには別種の用神の星が必要となるのですが、残念ながら命式にも大運にも、その2つ目の用神がありません。
おそらく、第2用神をしっかり備えていたならば、今回のような問題は起こらなかったでしょう。第2の用神が欠落していることが、他人の気持ちや痛みが分からない鈍感な人間性や自分勝手さを作り出しており、その傾向性は今の大運によって加速度的に強まっています。
この命式は、人生の最初(20代ぐらいまで)は「身弱」の姿でスタートします。若いうちは気弱で繊細で優しげでソフトな雰囲気の人だったかもしれませんが、34才から急激に「身旺」に大化けし始めます。
譬えるならば、可愛いアオムシだった幼虫が、ある時に羽化して巨大&醜悪な毒蛾の化け物に変化する姿に似ています。
度を越えて「身旺」に化けてくれば、もともとの水星の柔軟さや女性への気遣いは失われ、自我を通し暴走しながら、他人をも平気で傷つけるような粗暴な姿に変貌していきます。
辛金の性質として、自分だけの特殊な善悪、美醜、価値基準(マイルール)の枠内で生きることを好む、という傾向性があります。他人や社会にはたいして関心がありません。悪く言えば、自分だけの特殊な世界観の中だけで「自己完結」してマイペースに生きている人だということです。もちろん独自な世界観を作り上げる奇特なアーティストとしてなら、それでも良いでしょう。
しかし、この人が「奥さんの痛み」に丁寧に寄り添って共感してくれる夫であったと言えるでしょうか?
「辛金」はそもそも「他人への共感性」があまり豊かな十干でありません。ドライで個人主義の傾向性が強く、他人と群れることを嫌い、孤独を好む十干です。
この命式において、女性や妻を示す財星=「乙木」はどんな状態に置かれているでしょうか?
辛金は弱い陰金ですが、身旺になればサバイバルナイフのように鋭利な刃物にもなります。
日干が「身旺」に化ける大運へ入ったら、辛金と乙木の関係はどのように変化していくのでしょうか?それが分かれば、広末涼子さんとの結婚生活の実態が分かるでしょう。夫婦関係はかなり前から冷え切っていたことが読み取れます。
辛酉~庚申の大運は必ずしも「悪神」の運期ではありませんでした。この命式において、申酉はいちおう第1用神とでも言うべき星だからです。これは本人が思った通りに「自我を通せる強さ」を持つ運です。
「身旺」になって活動力も行動力も自信も得ます。なので、本人は少なくとも34才以降に運勢が良くなったと錯覚している可能性があります。しかし、このように「専旺干支」で巡ってくると、度を超えて強くなりすぎる弊害が出てきます。
大運が申酉に変わると、最初は水星だった丑丑は完全に金星へと身替わりします。(雑気の星は変わり身が早い裏切り者です。常にその時その時で一番強い星の味方へと寝返るのです)酉丑の金局が実態化します。
すると、人間性はまたたく間に変化して、自己中心的で強引で図々しい人間に化けていきます。
こうなった時に、先ほど言った「第2の用神」を備えているかどうかで、他人にも配慮ができて、周囲と調和して社会からも喜ばれ、お金も儲かる状態になるかどうかが分かれてきます。
この人は、急激に焼け太りして「身旺」になったはよいものの、2つ目の用神が欠落しているために、他人の気持ちを配慮しないで、自我を通して暴走して、頑なに意地を張って他人を傷つけるといった「身旺の悪さ」が表面化してきます。
ということは、この庚申の大運は、とにかく頑なに意地を張って自分を貫こうとするだけの運勢であり、周囲や他人との関係性はかえって軋轢を生じます。
鋭いサバイバルナイフで切られる乙木(妻の星)はどんな気持ちになるでしょうか?妻はさぞ居心地が悪かろうと思うのです。
広末さんは、前回の記事で書いたように、寂しがり屋で気持ちが不安定、常に誰かに依存していたい女性です。
夫が、自分の気持ちを理解してくれない、共感してくれない、優しくない、自分だけの世界に籠っているだけで、私には大して関心を持って関わってもくれないとなった時に、他のもっと優しそうな構ってくれそうな男性に頼りたくなったのでしょう。
しかし、そもそも「官星が悪神」の女性ですから、恋愛でおのずと引き寄せる男性は、自分を加害するようなロクでもない変な男性ばかりを選びます。
このキャンドル・ジュン氏の命式のように、運勢改善に必要な「用神」の星は1種類とは限りません。2~3種類の違う星を順序立てて、補って用いていかなければ、本当の意味で「完全に良い状態」には戻らない難しいケースも多々あるのです。