その用神法・・間違ってませんか?

四柱推命の基礎理論

以前のことですが、都内のある占い館にて、手相占いを専門にやっている占い師さんとお話する機会があったのですが、その方自身の命式がこれまた大変な生年月日らしく、以下のような丁火冬月の典型的な命式でした。

ところが、よく話を聞いていると、ご本人は自分の命式の「用神」を間違えて理解して(信じて)いるようで、「土の五行」が用神だとある四柱推命鑑定師に言われたので、それからはタイガーアイ(黄色)のパワーストーンをお守りにしていますなどと言っているではありませんか。

残念ながら、この命式において「土の食傷」は「用神」どころか「良い五行」にすらなりません

水の官星も悪神、金の財星も悪神、そして土の食傷も悪神でしかないのです。

とすれば、良い五行に分類できるものは「木・火」ということになり、さらに「真の用神」はそのうちの1つだけです。

用神法というものはここまで精緻に正しく判断しないと機能しませんいい加減な用神判断は「誤占」に繋がりやすく、クライアントの人生を狂わせる元凶になりかねないのです。

「反生の功」という誤った理論が元凶

なぜ、そのような「誤った用神論」が生じているのでしょうか?

ちまたに出回っている四柱推命本が、いくつかの系統に分かれることは以前の記事でも書いてありますが、ちまたで最も数が多いマジョリティを占めているものが、阿倍泰山のトンチンカン誤解に由来する「泰山流」と一般的に呼ばれている四柱推命です。

これは、10個の通変星、月支の元命星、十二運、雑多な神殺などを使って、あーでもない、こーでもないと言うタイプの四柱推命です。これが日本で流通している四柱推命本の約7~8割を占めています。

それ以外で、残りの2~3割で最近増えてきつつあるのが「中国式」「大陸系」と通称されている四柱推命理論が挙げられます。例えば、台湾のレイモンド・ロー師の著書などがそれに該当するでしょうか。他にもいろんな書籍が出回っています。

こちらは、先ほどの日本式泰山流の「通変星&元命星占い」くらべたら全然マシではあります。

というのも「身旺と身弱」をまず分けて考える、それに応じて「用神・悪神」(や良い五行や悪い五行)を分類する、という「日干強弱論」と「扶抑用神法」という基本の考え方がしっかりしているからです。

ちまたの日本型の泰山流・通変星占いには、そういった視点自体がそもそも皆無です。

ただし、私自身はこの手の「中国式・四柱推命理論」の扶抑用神法は、粗すぎてそのままだと実際には鑑定では使えないと感じています。これまた「誤占をしてしまうリスク」が無いわけではない。

ざっくりした「扶抑用神法」は、身弱であれば印星・比劫を、身旺であれば食傷・財星・官星を用神としましょうという基本ルールに則っています。しかし、その先の精緻な分析と仕分けの理論が欠落しているのです。

例えば、身弱であるとして、印星と比劫のどちらが必須用神(真の用神)であって、どちらが補助的な要素に過ぎないものなのか?

身旺であるとして、食傷・財・官星のうち「真の用神」はどれなのか?逆に「良い五行」として実際機能しない五行はどれなのか?

といった視点で詳しく深追いして分析する理論を持っていません。ゆえに、用神選定がどうしても荒っぽくなります。

なぜそういう視点が欠落しているのか?というと、十干の細かな性質の違い四季ごとの星の様相を詳細に読み解く理論を持っていないからでしょう。

命式を見る視点が「木火土金水」の「五行」として大雑把にしか見ていないのです。

十干の性質の細かな違い、春夏秋冬の各舞台において十干1つ1つがどのような様相と性質を展開するのか?といった詳細な背景理論が欠落しているからではないでしょうか?大雑把な「五行の扶抑用神」だけでゴリ押しするだけでは非常に粗い鑑定となってしまいます。

例えば、身弱で官星大過する命式は、多すぎる官星を剋して潰すために「食傷」を用神とするという理論を唱える人が往々にして存在します。このような考え方を「反生の功」と呼ぶ場合があります。

日干が生み出す(生じる)「食傷」によって、日干を剋して害する「官殺を抑制」しようという発想ですね。

実際には、この理論(反生の功)はほとんど場合において使えません。

身弱の日干にとっては、漏気させる「食傷」もまた「悪神・忌神」の代表格なのです。

この命式をみて、「水の官殺」が多いから、土の食傷(戊土)が抑制のために使えると思ったのでしょうが、実際には、水星も悪神、土星も別種の悪神というだけです。どちらも使ってはいけない星です。

「反生の功」的な理論で、身弱の場合に「食傷」を用いられるケースはかなり稀であって、しかも前提となる条件が幾つか存在しています。

さて、オンライン講座の受講生の皆さんは、この命式の「真の用神」が何か?正しく判断できるでしょうか?

食傷を使えば、かえって「食傷の悪い作用」が、官星の災いとは「別件で発生する」だけで、種類の異なる「ダブルの厄災」が降ってくるだけです。そんなに都合よく、食傷が官殺を潰して抑制してくれるという見通しにはなりません。

意外とこの手の誤り(反生の功)を、中国式・四柱推命と銘打っている書籍の中で普通に教えているフシが見られます。

四柱推命の鑑定において、身旺・身弱の判断と、用神の正しい選定は、最も重要な根幹となる理論です。ここが間違っていると「誤占」によってクライアントの人生をかえって狂わせる危険性があります。

このブログをご覧になっている読者の皆さんは、できるだけ誤りの少ない「精緻な用神判断法」を習得されるように努めて頂きたいと願います。

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