大震災にむけて「電気」を備える時代です

防災情報

久しぶりに防災関連の話題で書いてみます。今回は「ポータブル電源」の備え方についてです。

南海トラフ大地震(大津波を伴うM8クラス)や首都直下地震(関東大震災級の再来)がおそらく数年~10年以内に確実に迫っているであろう昨今。ここ数日間だけでも東北地方や能登での地震がまた頻発し始めています。

ちまたのオカルト界隈では25年7月予言が言われていますが、私は多くの人が意識した時点でその日付には起こらなくなると考えています。おそらく少しズレて発動する可能性が高いです。早ければ25年の年明け~春先にも来るでしょう。

震災後の停電生活にどう備えるか

関東平野や近畿東海などの都市部周辺で、大規模震災が起きた場合に、おそらく最悪2週間~1カ月ぐらいは電力供給が止まる可能性があります。

火力発電所が複数個所で破損して稼働できなくなったり、電柱が倒れて、変電施設や送電線があちこちで破損するでしょう。原子力発電所は停止したままでしょう。これらは現実的に想定しておくべき事態です。しばらく発電・送電が全くできなくなるか、東日本大震災の時と同じような計画停電がしばらく続くことになります。

春~初夏や秋ぐらいのたいして「暑くも寒くもない時期」ならば、多少の停電であれば、カセットコンロ(ガス缶)さえあって、煮炊き(自炊)ができれば、在宅避難生活もさほど問題はないと思います。水と食料品の備蓄さえあればOKです。

しかし、真冬の氷点下の寒さになる時期や、真夏の40℃近いような猛暑日続きの中で、大震災が起きて1カ月近くの停電になる可能性が無いとは言えません。

その時に一切「電気」が無ければどうなるでしょうか?もちろん冷蔵庫は使えません。中の食材は腐敗します。

いくら寒くても電気ストーブもエアコンも電気コタツも使えません。

いくら暑くても冷房や扇風機すら使えません。さて、その状態で在宅避難が可能でしょうか?

厳冬期・猛暑期の在宅避難生活を想定した時、各家庭において最低限の「電力備蓄」をしておかないとダメだということに気が付くでしょう。

高齢の昭和世代の方には、乾電池の備蓄は想像できても、家庭で「電気自体を備える」という発想が無いかもしれませんが、今や大容量・高性能のリチウムイオン電池が開発されたことで「家庭用の蓄電池」が普及し始めています。通称ポータブル電源(ポタ電)と呼ばれます。

ある程度の容量のある「ポタ電」非常用電源として確保しておけば、いざ長期停電になったり計画停電になった際に、夜の照明ライトの電源に、スマホの充電に、冷蔵庫の電源維持のために、電気毛布や電気コタツを稼働するために、さらには、扇風機灯油ファンヒーターを稼働することさえも可能となります。

つまり、ポタ電を備えているのといないのとでは「在宅避難の難易度」に雲泥の差を生じます。

ポタ電選びのポイントは?

ではどんな基準でポータブル電源を選べばいいのでしょうか?

どのスペックに注目して選べば失敗が無いのか?以下の4つの点が最重要ポイントになります。

<ポタ電を購入する際の重要ポイント>

① 最新型の「リン酸鉄」リチウムイオン電池であること

大手4社のポタ電 であること(メーカー10年保証付

③ 使用用途のために「十分な電力容量&出力量」があること

ソーラー発電パネル」必ずセットで購入すること

2024最新・防災視点のポータブル電源の選び方!詳しすぎる超・詳細解説|Anker Solixシリーズ[そなえるTV・高荷智也]

このタイミングで、この時期に記事を書いているのは理由があります。

それは小売最大手のAmazon年に1度のブラックフライデーという大規模割引セールを約1週間行っている真っ最中だからです。

ポタ電はその電気容量に比例して高額になります。容量500Whクラスだと平均60,000~80000円1000Whの大容量クラスとなると平均13~15万円前後するでしょう。高額すぎてなかなか手が出ませんが、年に一度の大規模割引セールが行われている時が狙い目です。

ブラックフライデー(11月末)やプライムデー(7月末)の期間などは表示価格が30~50%オフになります。通常6~7万円のポタ電でも半額近い30000~35000円で購入できるわけです。この機会を逃すわけにはいきません。

最低でも500Wh、理想では1000Wh以上の蓄電容量を

ポタ電も小型のものから超大型までピンキリなので選ぶのに困る方も多いでしょう。一番大事なポイントは「電気容量&出力ワット数」です。

2~3万円でホームセンター等にも置いてあるのは200Wh~300Whぐらいの容量のものが中心です。ハッキリ言ってこれは買うだけ損です。モバイルバッテリーに毛が生えた程度ですから。

300ワット程度で動かせる家電など数えられるくらいです。 容量300Wということは出力300Wの家電を40~50分だけ動かせますよというレベルです。

これで安定して稼働できるのは、照明ライト(30~40W)とか、扇風機(20~40W)とかぐらいです。あまりに「電気容量&出力ワット数が少なすぎ」て逆に使いどころに困るのです。

私が考える最低限必要な下限となる電力容量は500Whです。

欲を言えば電力容量が大きいに越したことは無いのですが・・10万円超えるポタ電をそう簡単に買えるか?というお財布事情もあるでしょう。なので、下限容量を最低500Whと見ておいて、あとはどれだけ上乗せできるか?という形になるでしょう。余裕があれば800Wh~1000Whを、大富豪さんなら2000Whも選択肢になってくるでしょうか。

通常71410円のものが49326円まで価格オフになっています。この価格帯で狙えるのは500Wポタ電発電量100Wのソーラーパネルです。

「ポタ電」を買う際はどのぐらいの消費電力の家電を、どのぐらいの時間使いたいのか?を想像して買ってください。

・消費電力が約60~200Wの冷蔵庫約6時間稼働させるのに、必要な電力量は平均120W×6H=720Wh以上です。

・消費電力が30~50Wの灯油ファンヒーター約6時間稼働させるには 実際は400Wh程度は必要です。

・消費電力が60W前後液晶テレビ(30~40型)5時間稼働させるなら実際は400Wh程度は必要です。

ただ実際には1つの家電だけを動かすわけではありません。同時に照明器具やスマホ充電にも使うでしょうから、最低でも500Whぐらいの容量が無ければいざ停電時にほとんど使い物にならないと思います。

また電気を取り出す際にムダな分(出力ロス)が少なからず発生するので、実際に500Whのポタ電から取り出せる電力の目安は約85%が上限と言われています。

このように具体的な使用機材を想定して「必要な容量」を逆算してください。

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実際にいろんな家電を想定してみると、500Wh程度の容量では実際のところ数時間しか使用できないことが分かるかと思います。ですから容量500Whぐらいが最低ライン(下限)と言っているわけです。

ブースト出力機能があるかどうか?

また大型家電を使う場合は、起動する時に「通常時の消費電力」の「2倍近い負荷」が掛かるものがあります。起動時最大電力というもの。

例えば、定格消費電力が400Wと書いてあっても、起動時には倍近い750~900Wぐらいの高出力が一瞬だけ必要となる家電もあります。

その場合、ポタ電側の出力ワット数がきっちり500Wしかなければ実際には起動できません。

エアコン、冷蔵庫、電気ストーブなどの冷暖房に関わる機器、モーター駆動に関わる機器がその代表です。

そうした場合を想定して「ブースト出力機能」(一時的に高出力を出す)を持たせてあるポタ電も多くあります。

ブースト出力機能とは一時的に大きな電力を出力させる機能で、500Whのポタ電の場合には750~1000Wぐらいまで一時的に出力できるようになっていたり、1000Whのポタ電ならば1500W~最大2000Wもの高出力を一時的に出せるように設計されています。

このエアコンの場合、通常時の冷房での定格消費電力は560Wですが、起動時には最大で1150Wの電力が一時的に必要になる可能性があります。

ポタ電を購入する際は、使用したい家電の電気消費量のうち、通常時の定格消費量と起動時の最大消費電力量の両方を意識するようにしましょう。

日本国内で販売されている家電製品は定格消費電力が1500Wを超えないように設計されています。なので通常のAC壁コンセントは1500W対応となっています。

ブースト出力で1500~2000Wまで出せる大容量ポタ電があれば、ほぼ全ての家電製品(エアコンも含む)を漏れなく起動させることが可能です。ただし、ポタ電自身の電力容量によって何時間だけ稼働させられるのかは違ってきます。

自家発電用ソーラーパネルは必須アイテム

ポタ電を購入する際に必ずセットで買っておかないと意味が無いツールがあります。それがソーラー発電パネルです。

まずポタ電を購入して最初は、自宅のAC壁コンセントから給電して充電できます。

ただし、震災などで長期停電になった場合に、使い切ったポタ電を再充電するにはどうするのでしょうか?

その際に必要不可欠になるのがソーラー発電パネルです。これが無ければ、ただの「無用の鉄の箱」になります。(いわゆる計画停電が続くならば、通電している時間にAC充電しておくことで対応はできますが)

ソーラーパネルがあれば、日中に太陽光である程度充電しておいて、夜間に電力消費してというサイクルで連日使用することが可能となります。

ソーラーパネルの発電量の目安は、ポタ電本体の「電力容量の約20~40%」ぐらいが目安でしょうか。

500Wのポタ電ならば100~200Wぐらいの発電力があるソーラーパネルを、1000Wのポタ電ならば200~400Wぐらいの発電力があるパネルを、2000Wのポタ電ならば400~800Wが目安となります。

例えば朝9時~昼15時ぐらいの約6時間ぐらいの日照時間で全体容量の80%以上の電力が十分に充電できるソーラーパネルを選んでおけばよいでしょう。実際には、春秋・夏・冬それぞれの季節・気温によって発電効率は違ってくるようです。

できれば国産大手メーカー4社のうちからAnker(アンカー)、Ecoflow(エコフロー)、Jackery(ジャクリ)などの製品がお薦めです。これら国産メーカーのポタ電はだいたい10年間保証等が付いています。また不要になった際にメーカー回収をしてくれます。(リチウムイオン電池製品は、地方自治体のゴミ回収品の対象外となっています)

10年間ずっと倒産せずに存続してくれていてメンテ対応も可能な国産大手メーカーが無難でしょう。いくら価格だけ安くても中国製のよく分からないメーカーのポタ電を買って、それが壊れたら修理もメンテ保証も廃品回収もできないと思ったほうがいいです。

また最新の「リン酸鉄リチウムイオン電池」を用いているポタ電を選んでください。

旧型の機種は「三元系リチウムイオン電池」というものを使っている場合があり、それは200℃で発火する危険性があります。新しい「リン酸鉄」の方はその問題点を解消されて、安全性(600℃まで安全)と長期保存性(1000回以上の放電~再充電にも耐える)が向上しています。

季節ごとの使用ケース想定(春秋編)

春・秋あたりの暑くも寒くもない季節に限って言えば、300~500Whのポタ電があれば余裕だと思います。

暖房や冷房を使わなくてよく、夜間照明、スマホ充電、あとは地上波テレビぐらいしか使わないでしょう。場合によっては300Whのポタ電で十分かもしれません。

一番問題になるのは冷蔵庫です。冷蔵庫は1日を通した電力消費が大きい家電なので、大して暑くない季節ならば、冷蔵庫の使用は「もう諦める」のも一手です。

何日か掛けて、先に野菜室・冷蔵室にあるモノ⇒ 次に冷凍庫に入っているモノという順番に処理していって、最後はカラにしておくとよいです。後は備蓄していた保存食・加工食品で対応します。

調理は携帯ガスコンロ(ガス缶)で煮炊きします。いちおう1000W以上のポタ電があれば使えはしますが、電子レンジや給湯ポット等の「やたらと消費電力を食う調理家電」は基本使用しません。そのためにも「ガス缶」は多めに備蓄しておきましょう。

1000Wh以上の大容量ポタ電があるならば、1日のうち数時間~半日だけ冷蔵庫を稼働させて、完全に中のモノが解凍しないようにある程度の冷気をキープする作戦も立てられます。

厳冬期の停電対策(暖房)をどうするか?

夏と冬でマシなのはどちらか、明らかに冬の方がまだマシです。

なぜならば、気温が低いので冷蔵庫をずっと生かさなくても何とかなるので、その分の消費電力量がまず浮きます。冷蔵庫を「見捨てる」という選択肢を取れるのはデカいです。

さらに暖房器具については、灯油の備蓄さえしておけば灯油ファンヒーター」という非常に消費電力が低いエコな暖房器具を使用できるのでかなり対策が楽です。

石油ファンヒーターは、起動時(点火時)だけは大きな電力(500W程度)が必要ですが、通常の燃焼時にはファンを回転させるぐらいしか電気を使っていないので定格消費電力10~40Wぐらい扇風機と同じ程度のものが多いです。500Whのポタ電でも約8時間ぐらいは連続使用できるでしょう。

また電気コタツも「弱モード」であれば50~100Wなので、さほど電力を食う家電ではありません。

一番コスパがいいのは電気毛布(消費電力40~80W程度)です。寝ている間だけでも電気毛布を使えると凍えなくて済みます。

冬の暖房器具をまかなう方が、夏の冷房や冷蔵庫を使うよりも消費電力量は少なくて済みます。対策的には夏よりも冬の方がマシです。

さらに言えば、まったくポタ電等が無くても、昔ながらの反射式の石油ストーブがあれば、乾電池やマッチ一本でも点火できるので、電気が無くても暖を取ることができます。ただしコレの難点は(灯油ファンヒーターに比べると)燃費が非常に悪いので、けっこう膨大な量の灯油が必要となります。あくまで非常時用でしょうか。

それ以外の暖房は、エアコン電気ストーブ系(カーボンヒーター、セラミックヒーター、ハロゲンヒーター等)も、すべて消費電力が大きく1000W 近くも使う家電ばかりなので、震災停電時にはまず使えないと思っておいた方がいいです。普段から石油ファンヒーターと電気毛布や小型コタツ等を準備しておきましょう。

真夏の猛暑期をどう乗り越えるかが最大の難所

最大の難所が「真夏の猛暑」です。40℃近い酷暑が続く中の在宅避難がどうなるのか?まだ日本人がこれまで歴史上経験したことがありません。何の対策も無ければかなりの炎暑地獄となるでしょう。

冷蔵庫を生かし続ける選択をするならば結構な電力を使い続けます。最低でも1000Wh以上のポタ電が無ければ無理です。1000Whクラスの大容量ポタ電ならば半日だけ冷蔵庫を稼働させて、半日は通電しない方式で、中のモノが解凍しきらず腐敗しない程度の冷気を保つというギリギリの運用ができるでしょう。

一番の問題は「冷房」をどうするかです。ここが最大の難所です。

最高気温が35℃の体温を超えてくれば「扇風機」だけでは意味が無くなります。(扇風機の冷却原理は気化熱です)

しかし、エアコン冷房を稼働させるには、500Whクラスのポタ電では無理です。最低でも1000Whの容量があってブースト出力で1500~2000Wまで一時的に出せる馬力のあるポタ電でなければエアコン冷房は起動しません。

起動さえしてしまえば、いちばん消費電力が少ない「弱冷房」(節電冷房モードやドライ運転)で運転を続ければ、定格消費電力は250~400Wで済む可能性があるので、1000Whポタ電でも最大2時間ぐらい、2000Whポタ電だと最大5時間以上は連続稼働できる可能性があります。夏の日中の一番暑い時間帯(数時間)だけも使えればかなりマシになります。

扇風機の消費電力30Wぐらいなので、エアコン使用で室温が30℃前後に保てればあとは扇風機稼働だけでも熱中症で死なない程度には過ごせるでしょう。

「酷暑期の在宅避難」を熱中症の危険なく過ごすには、実際には「1000Wh以上のポタ電」が必要になるかもしれないということが言えるのです。

実際には、ご予算に応じて夏の対策は「松・竹・梅」コースを選択する形になるでしょう。

最低ランクの梅コース「300~500Whクラスのポタ電」で何とか生き延びようという生存ギリギリのサバイバルコースです。この梅コースではエアコン使用ができません。使えるのは扇風機小型冷蔵庫ぐらいです。

次の竹コース「1000Whポタ電」日中のほんの数時間だけエアコン(弱冷房)使用できて、あとは扇風機で何とか耐え忍ぶというコースです。

予算に余裕がある方は「松コース」2000Wh以上の大容量ポタ電を用意しておけば、昼間の暑い時間帯に5時間ぐらいはエアコン弱冷房を付けっぱなしておけます。熱中症や災害関連死のリスクは大幅に低下するでしょう。

他に竹と松の中間的なランクとして、1000Wと500Wの2つのポタ電を併用するという折衷案もあるでしょう。

2つのポタ電を取り回しできれば、家電の運用方法が広がるので(一方が充電中でも片方が使える等)かなり余裕が出てきます。

もし予算に余裕がなく梅コースで行くならば、夏場よく工事現場の作業員などが着用している「水冷式ベスト」があれば、併用して体温を下げることができます。

これは凍ったボトルや水冷タンクを背中のリュックに背負って、冷やされた冷水がチューブ内を通ってベストを循環して全身を冷やすというツールです。「冷凍庫の製氷機能」が生きていれば毎日使うことができます。

以上、大震災後の長期停電に備えるには「ポータブル電源」が各家庭に必須アイテムになるだろうと思います。

春・秋の過ごしやすい季節に震災が運良く起きてくれればいいですが、真夏や真冬に起こらないとも限りません。

一番死者数が多くなるのは「真夏の酷暑」に起きて延焼火災大規模停電が発生するパターンではないかと思います。災害関連死が最も多くなるでしょう。

防災庁などに余計な予算を使っている間があれば、一定容量以上の「ポータブル電源」を購入した世帯に対しては軽減税率が適用される(減税の恩典が付く)ような施策をするほうが、よほど防災対策になると思うのですが・・・

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